FX基礎講座|移動平均線の使い方

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SMAとEMAの違い|初心者でも迷わない使い分けとおすすめ設定値

FXのチャート分析で最もよく使われるテクニカル指標のひとつが「移動平均線」です。
その中でも代表的なのがSMA(単純移動平均線)EMA(指数平滑移動平均線)ですが、 「何が違うの?」「どっちを使えばいいの?」と迷う方も多いはず。

この記事では、SMAとEMAの違いを初心者向けにわかりやすく整理しつつ、 よく使われる設定値自分に合った数値の決め方までまとめて解説します。

1.SMAとEMAとは?まずは「違い」だけ押さえる

どちらも「一定期間の価格を平均して、ラインとして表示する」指標です。
ただし、過去データの扱い方が違うため、チャート上での動き方に差が出ます。

SMA(Simple Moving Average)

  • 一定期間の価格を同じ重みで平均したもの
  • ラインがなめらかで、ノイズが少ない
  • その分だけ反応は遅くなりやすい

EMA(Exponential Moving Average)

  • 直近の価格により大きな重みをかけて平均する
  • 新しい値動きに素早く反応するラインになる
  • その分だけノイズの影響も受けやすい

ざっくり言えば、SMA=なめらかで遅い/EMA=キビキビ動くがノイズ多め
まずはこのイメージだけ押さえておけばOKです。

2.SMAの特徴:大きな流れをつかむのが得意

メリット:トレンドの「方向」を落ち着いて確認できる

SMAは過去データを均等に平均するため、急な値動きに対しても過度に振り回されません。
そのため、

  • チャート全体の傾き(上昇/下降)
  • 中長期的なトレンドの方向性
  • サポート・レジスタンスとして意識される水準

といった「相場の大きな流れ」を把握するのに向いています。

デメリット:転換点には気づきにくい

その一方で、SMAは反応が遅いという弱点もあります。
トレンドの転換局面では、

  • 価格はすでに反転しているのに、SMAはまだ追いついていない
  • 押し目・戻りのタイミングが遅くなる

などの状況が起こりやすく、エントリーのトリガーとしてはやや鈍い印象になりがちです。

3.EMAの特徴:勢いとタイミングをとるのが得意

メリット:直近の勢いを素早くとらえられる

EMAは直近の価格に重みを置いて計算されるため、トレンドの強さや変化を敏感に反映します。
そのため、

  • トレンドが加速しているのか、弱まっているのか
  • 押し目・戻りからの再加速ポイント
  • 短期足でのエントリー/イグジットのタイミング

といった判断に活用されることが多く、特にスキャルピングやデイトレードと相性が良いです。

デメリット:レンジではダマシが増えやすい

一方で、EMAは価格変動に敏感であるがゆえに、レンジ相場では

  • 価格とクロスする回数が増える
  • 「抜けたと思ったらすぐ戻る」といったダマシが多くなる

といった傾向があります。
そのため、「相場環境(トレンドかレンジか)」とセットで使う意識が大切です。

SMAは「方向」を、EMAは「勢いとタイミング」を見るための道具。
どちらが正解というより、目的に応じて使い分けることが重要です。

4.SMAとEMAをどう使い分けるか?

実際のトレードでは、SMAかEMAのどちらか一方だけを使うのではなく、
「SMAで大きな流れを確認し、EMAでタイミングをとる」という組み合わせがよく使われます。

よくある組み合わせの例

  • SMA20:相場の方向性(上昇トレンドか、下降トレンドか)
  • EMA9:押し目・戻りからの再上昇/再下落のタイミング

SMA20が右肩上がりのときに、価格がいったん下がってEMA9付近で反発してきたら、
「上昇トレンドの押し目買い候補」といった見方ができます。

このように、SMA=土台/EMA=細かいリズムととらえておくと、役割分担がイメージしやすくなります。

5.多くのトレーダーが使う代表的な設定値

では、実際にどのような数値設定がよく使われているのでしょうか。
ここでは、世界中のトレーダーがよく参照する代表的な期間を紹介します。

デイトレ・スキャルでよく使われる期間

  • EMA:5・9・12・20
  • SMA:20・50

短期の勢いと押し目/戻りを意識した、比較的短めの期間が中心です。

スイングトレードでよく使われる期間

  • SMA:20・50・100・200
  • EMA:20・50

特にSMA200は、株式・為替を問わず多くのトレーダーが意識する「超長期トレンド」の目安として有名です。

よく使われる期間をひとつだけ挙げるなら、「20」は覚えておく価値があります。
日足20SMA/20EMAは、機関投資家も含めて意識されやすい節目のひとつです。

6.設定値はどう決める?最終的な答えは「過去検証」

ここまで読んで、こう感じたかもしれません。
「結局、どの数値を選べばいいの?」と。

結論から言えば、「自分の手法にとって一番機能する期間」は人それぞれ違う、というのが実感です。

  • トレードする時間帯(ロンドン/NY)
  • 得意な通貨ペア
  • トレードスタイル(スキャル・デイトレ・スイング)

こうした条件が変われば、「機能しやすい移動平均線」も変わります。
YouTubeやSNSで見た設定をそのまま使っても、同じ結果が出ないのはこのためです。

だからこそ大切なのが、自分のルールで過去検証を行うことです。
チャートをさかのぼり、

  • どの期間のSMA/EMAが、押し目・戻りとして機能しやすいか
  • どの組み合わせなら、エントリーと損切りの判断がしやすいか

を、自分の目で確かめていくことが「自分に合った設定値」を見つける一番の近道です。

7.まとめ:SMAとEMAは「役割分担」で考える

この記事のポイント

  • SMAは「なめらかで遅い」=トレンドの方向や大きな流れの把握に向いている
  • EMAは「鋭くて速い」=勢い・転換・タイミングを見るのに向いている
  • SMAで方向を確認し、EMAでエントリータイミングをとる組み合わせが定番
  • よく使われる期間は「20・50・100・200」などだが、正解は人によって異なる
  • 最終的には、自分の手法で過去検証を行い、最も再現性が高い設定値を採用することが重要

移動平均線は、シンプルでありながら奥が深いテクニカル指標です。
なんとなくチャートに表示しているだけでは、本来の力を発揮してくれません。

この記事をきっかけに、「なぜその期間を使うのか?」という視点を持ってチャートを眺めてみてください。
きっと、これまでとは少し違った世界が見えてくるはずです。

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