FXで一番大事なのは「自分との約束を守れる力」だと思う
才能よりも大切なもの──FXを変えるのは、特別なセンスではなく
「自分で決めたルールを、どれだけ守り通せるか」です。
手法、検証、資金管理、環境認識…。
FXで勝つために大切な要素はいくつもありますが、最終的にものを言うのはあなた自身の「約束を守る力」だと感じています。
本記事では、私が初心者の頃に勝ちトレーダーさんから聞いた言葉や、自分自身の失敗体験も交えながら、「ルールを守ること」がなぜここまで重要なのかをお話しします。
1.勝てるトレーダーと負けるトレーダーを分ける「たったひとつの力」
私がまだFX初心者だった頃、ひょんなきっかけから、とある勝ちトレーダーさんと通話する機会を得ました。
当時の私は、勝ち方が分からず、
「手法さえ良ければ勝てるんじゃないか」「もっと精度の高いインジケーターが必要なんじゃないか」と、あれこれ探し回っていた時期でした。
通話の中で、そのトレーダーさんから
「FXで勝つために、一番大事なことは何だと思う?」
と質問されました。
私は必死に考えて、いくつか答えました。
- しっかり過去検証して手法を作ること?
- 大きな流れに順張りすること?
- リスクを抑えた資金管理?
どれも「悪くはないね」と言われましたが、正解ではありませんでした。
少し間を置いてから、そのトレーダーさんは、はっきりと言いました。
「一番大事なのは、決めたルールをちゃんと守ることだよ。」
そのときは正直、「そんな当たり前のことなのか」と少し拍子抜けしたのを覚えています。
ですが、トレード経験を重ねれば重ねるほど、この言葉の意味の重さを痛感するようになりました。
2.「ルールを守るだけ」なのに、どうしてこんなにも難しいのか
例えば、損切りに関するルールを決めたとします。
- 〇pips逆行したら、必ず損切りする
- 指標前には新規エントリーしない
- 感情的になったら、その日はもうトレードしない
頭では「その方がいい」「守らないと危ない」と分かっています。
それでも、いざ含み損が増えてくると、
- 「もう少しだけ待てば戻るかも」
- 「ここまで耐えたんだから、今切るのはもったいない」
- 「前も助かったし、今回も助かるかもしれない」
こういった気持ちが湧き上がってきて、自分で決めた損切りルールを簡単に破ってしまうのです。
◆ 私自身も、何度も何度もルールを破ってきた
私も、損切りできずに自分との約束を破り続けた時期がありました。
きっぱり損切りしてしまえば、それはそれでルールを守ったという意味でスッキリするのに、
「今回はもう少しだけ様子を見たい」
「ここまで耐えたんだから、戻ってくれないと困る」
そんな感情に負けて、何度も損切りを先延ばしにしてしまったのです。
そして厄介なのは、損切りしなかったのに、たまたま助かってしまうことがあるという点です。
それが、良くない意味での“成功体験”になり、
「今回ももしかしたら戻るかも」という期待を、次のトレードに持ち込みやすくなってしまいます。
自分で決めたルールを守るという、シンプルなこと。
それがいかに難しいか、身をもって痛感しました。
3.人がルールを破ってしまう理由──プロスペクト理論とサンクコストの罠
私たちがルールを破ってしまう背景には、いくつかの心理的なクセ(バイアス)があります。
◆ プロスペクト理論(損失回避の傾向)
人間は、「同じ金額の利益」と「同じ金額の損失」を比べたとき、
損失の方を強く・大きく感じる傾向があると言われています。これがプロスペクト理論です。
そのため、
- 損失を確定させる損切りボタンは、とにかく「押したくない」
- 含み損の状態から「ゼロに戻るだけ」でも、ものすごく嬉しく感じる
こういった心理が働き、ルールよりも「目先の損失回避」を優先してしまうのです。
◆ サンクコストバイアス(ここまで耐えたんだから…)
もう一つ厄介なのが、サンクコストバイアス(埋没費用の呪い)です。
「ここまで耐えたんだから、ここで切るのはもったいない」
「今までの努力が無駄になってしまう」
という考え方が、合理的な判断を邪魔します。
本来であれば、今この瞬間のチャートと、これからの値動きだけを見て判断すべきなのに、
「ここまで我慢してきた自分」が、損切りボタンを押すのを止めてしまうのです。
自分との約束よりも、こうした人間の本能的な心理の方が強く働いてしまう。
だからこそ、相当意思が固くないと、普通の感覚のままではFXで勝ち続けるのは難しいのだと思います。
4.損切りは「負け」ではなく、ビジネスでいう必要経費
もう一つ、私の中で大きく意識が変わったポイントがあります。
それは、損切りを「負け」ではなく「必要経費」と捉える発想です。
普通のサラリーマンの感覚では、時間を差し出した分だけ、毎月決まった給料が振り込まれます。
時間=お金、という世界に慣れていると、
- 時間をかけたのにお金が減る
- 努力したのにマイナスで終わる
という状況を、なかなか受け入れにくいものです。
しかし、ビジネスの世界では、時間をかけても必ず利益が出るとは限りません。
商品を仕入れるにはお金がかかり、広告費も必要で、時には思ったように売れないこともあります。
FXも同じで、損切りは「利益を出すための必要経費」だと捉えることができます。
「いかに損切りをゼロにするか」ではなく、「いかに上手に負けるか」という視点を持てるかどうかが大切です。
FXは一見、仕入れも在庫もないビジネスに見えますが、
メンタル面やリスクの取り方を含めて考えると、起業家精神を鍛えるための最高のトレーニングの場と言えるのかもしれません。
5.家庭・本業と両立しながら、努力を継続するということ
私自身、小さな子どもがいる家庭があり、本業もなかなか忙しい中で、
副業としてFXや自分のビジネスづくりに取り組んできました。
正直なところ、継続すること自体が簡単ではありません。
疲れている日もあるし、子どもと過ごす時間も大切にしたい。
それでも、少しずつでも検証を続けたり、ブログを書いたり、チャートを振り返ったりしてきました。
ほとんどの人は、口では「変わりたい」「稼ぎたい」と言いながら、
実際には3日続けることすら難しいのが現実だと思います。
特別な才能は必要ない。
けれど、正しい方法で、正しく努力を継続できる力は、ある意味で「最大の才能」なのかもしれません。
そしてその土台になるのが、「自分との約束を守る力」だと思っています。
小さな約束を守り続けることで、少しずつ自己信頼が積み上がり、
やがてそれが、トレードにも人生にも、大きな結果となって返ってくるのではないかと感じています。
6.今日からできる「自分との約束の鍛え方」
最後に、「自分との約束を守る力」を鍛えるために、
今日からでも実践できる具体的なステップをいくつか挙げておきます。
① 守れる量にまで、ルールを「小さく」する
いきなり完璧なルールを10個も20個も作っても、まず守れません。
まずは、
- 「損切りラインだけは絶対に動かさない」
- 「1日〇トレードまでにする」
など、「これだけは守る」という約束を1〜2個に絞ることをおすすめします。
② 守れたかどうかを、記録に残す
トレードノートや日記に、
「今日はルールを守れたか」「守れなかったか」「なぜ破ってしまったのか」
を書き残しておくと、自分との約束と向き合う時間が自然と増えていきます。
③ FXを「上手く負けるゲーム」として捉え直す
「どうすれば負けないか」ではなく、
「どうすれば上手く・小さく負けられるか」という視点を持つことで、
損切りに対する心理的ハードルは少しずつ下がっていきます。
7.まとめ:自分との約束を守れる人は、必ず強くなる
FXでは、手法やインジケーターに注目が集まりがちですが、
最終的な差を分けるのは「自分との約束を守れるかどうか」だと感じています。
- 損切りを含めたルールを、自分で決めること
- そのルールを「当たり前の基準」として守り続けること
- 守れなかった自分と向き合い、少しずつ修正していくこと
FXは、単にお金を増やすためのツールではなく、
自分自身と向き合い、自己管理力や起業家精神を鍛える場でもあります。
もし今、なかなか結果が出ずに悩んでいるとしたら、
一度「どれだけ自分との約束を守れているか」を振り返ってみてください。
そこを少しずつ変えていくことで、トレードも、人生も、必ず変わっていくはずです。